冨士川流域王国」構想を民間レベルで提案する理由について

また、この「冨士川流域王国」構想を民間レベルという形でスタートした理由について若干説明が必要かと思いますので申し上げます。

1. こうした広域的なプログラムは、一般的にはその範囲を包括する行政機関が中心で行われるます(実際このエリアにおいては県振興局や広域行政組合などが取り組んでいます)。
しかし、そのプログラムを実行するには「民間」の力が必要です。行政が手を引くと、その時点でプロジ
ェクトが終焉してしまうケースは過去に多く見られます。なかなか民間へ波及しません。従って今回の「王国」構想の提案は「民間」レベルで発信し、これまでの逆方向からの挑戦です。

2. 一市町村での観光プログラムは、他の町村へ広域的に発展しません。従って、全国を視野に展開している「金山博物館」周辺からのプレゼンとして王国構想を発信しています。金山博物館は年間を通じ開館しており(水曜日休館)、門戸を開放していますから、いつでも流域の「夢」を語れる場として活用できます。

3. 冨士川流域王国・冨士川流域dream学会は、敷居も壁もつくらず、誰でも参加できる環境づくりを推進し「民間活力を集大成」するものです。王国づくりに意欲と行動力ある方は自由に参加できます。また、王国のメリットを活用したい企業経営者の参加も歓迎しています。

4. また、最初から「補助金」狙いのプロジェクトは、補助金が切れた段階で終焉するケースがあります。今回の構想は、まず知恵を使い「あるものを上手に使う」という発想で基本から固めます。成果がでれば、また「王国」の考えが定着すれば、おのずと財政的な面は行政や企業も黙っていられないと考えています。

5. いま山梨県では「県立博物館」(御坂町)建設を進めています。この博物館は、山梨県全体を博物館として捉えた場合、その中核に位置する「ハブ博物館」として位置づけられています。ハブとは自転車のスポークを束ねているところをいい、一例を示せば多くの空路をもつ国際的な大空港のことを「ハブ空港」と呼んでいますが、そのハブ空港ハブ空港が繋がることで相乗効果が起き、その利用者の利便性はきわめて高いものになります。県立博物館はこのハブの発想を取り入れた「ハブ博物館」で、世界に例がない特色ある博物館になるでしょう。
 県立博物館の来館者は、それぞれの学習テーマで学習しますが、さらに深く学習したいという知的好奇心(学習ニーズ)を満たしたい方を「歴史の現場」へ誘導し、歴史景観と共に学習してもらうシステムです。
その歴史の現場は県下各地に沢山ありますから、幾つもの現場につながる様が「ハブ的」であるということで、「ハブ博物館」と呼びます。冨士川流域には学習プログラムが沢山あります。県立博物館からの誘導を考えています。

また、県立博物館も、いくつもの歴史コースを設定することで、リピーターに期待できますし、現場へ赴くのに、公的な交通機関運送業者(バスなど)にもメリットがでます。さらにコース途上での食事土産品購入などで地域とも結ばれますから、地域経済の活性化にも直結すると考えられます。

 私(谷口一夫)は、基本構想策定委員会から、このハブ博物館コンセプトを提言してきましたが、この考えだと「箱もの」ではありませんし、地域の活性化と連動するものといえます。
 幸い「冨士川流域王国」内には、県立博物館とハブでつながる「文化施設」が、湯之奥金山博物館など12館ありますから、地域中核館として取り組むことが可能です。
 それらは「王国」運営の核にもなります。既に金山博物館は「冨士川流域王国」構想という広域的なプログラム展開において貢献できると考えています。

6. 以上の考え方から「民間レベル」での提案となりました。「冨士川流域王国」「冨士川dream学会」は同時スタートしています。このプロジェクトは、観光王国山梨を標榜する山梨県の観光行政にも貢献できると考えます。私たちは山本知事の提唱する観光立県山梨に賛同し、行動します。