館外活動であります「富士川流域王国」のコンセプトを再々度ご紹介したいと思います。

*「富士川流域王国」(コンセプト) 

王国コンセプトは、2004年の建国時に提案。その後2006・01・27日日記にて部分修正、さらに若干の注記を加えました。

■①山梨県第3の広域的観光地化を目指します。

 「富士の国やまなし」の広域的観光地は「富士山麓」「八ヶ岳山麓」がありますが、それに次ぐ広域的観光地として「富士川水系」全体を考えるものです。

 王国の範囲は、富士川の河口(静岡県)と富士川の本流・上流域(山梨県)の市町村を包括しています。流域沿岸市町村には個別の観光行政がありますが、それら地域の個性を守りつつ「広域的視点」「広域的連携」を狙います。

 地域住民に対する行政サービスは、個々の自治体によりますが、観光など広域的視点で捉えることが理想的なものは、広域的な取り組みが理想だと考えます)。

■②市町村という行政の枠を乗り越えて。

 「市町村」という行政の枠を超え、本流と上流域にある自然遺産と文化(歴史)遺産、産業遺産を効果的に結び、有効活用することで相乗効果を図ります。

 「広域的視点」で捉えるだけで、これまでにない素晴らしい学習・観光プログラムが構築できます。私たちが観光旅行するとき、あまり行政区域を意識するものではありません。例えば、軽井沢なら長野県でも群馬県でもかまわないわけです。

■③富士川流域王国という「夢空間」で包み込みたいと思います。

 そこで、市町村という枠を乗り越え、観光地としての「富士川流域王国」という「夢空間」を提言致します。自分の地域に無いものでも、王国内にあれば共有し活用する考えです。

 夢空間であると同時に「公共的空間」(公共財産)として認識し、評価することが、大事です。

■④環境変化への対応は急を要します。

 近い将来、確実に中部横断自動車道が開通します。東名も第2東名が開通しますし、交通の便は飛躍的に良くなるでしょう。しかし、バイパスができて、それまで栄えていた商店街が消滅したという事例は全国にも身近にも数多くあります。私たちは中部横断道が、富士川流域(国道52)を通過してしまうのではないかという危惧を強くもっております。国道52の沿線に魅力がなければ確実に通過地帯になってしまうでしょう。

 かって富士川舟運が身延線の開通で消滅した事実があります。歴史は繰り返されることをもっと意識すべきです。

 また、平成21年には、国際空港「静岡空港」が開港予定です。富士川流域にとって一番近い国際空港です。そこからの視点で「富士川流域」を検討することが大事です。

 中部横断自動車道が災害用の考え方がありますが、近年起きている大地震の事例からも、多くの高速道路が不通となり、ヘリなどの空中からの災害復旧・支援活動が報道されています。山梨県下レベルで考えると流通網の充実は大きなメリットになりますが、地域レベルで考えますと、必ずしも、これが富士川流域王国の富士川本流沿線の自治体の活性化に直結するとは限りません。

■⑤富士川流域運動は民間レベルで取り組んでいます。

 富士川流域王国運動は、民間レベルの運動として開始しました。理由は簡単です。市町村の観光行政を広域的に捉えるということは、何れの市町村が主導しても不可能です。どうしても行政では限界部分がありますので、民間の力を結集できる方向で考えております。

 民間活動と行政が手を取り合ってやる。この考えを追加いたします。

 湯之奥金山博物館の館外活動として開始したのは、博物館は広域的に開かれた場所ですから、ここからの発信が最も効果的だったからです。

 ■⑥富士川流域の自然・文化(歴史)・産業遺産は無限にあります。

 富士川流域には大自然が豊かにあります。そこを舞台に営まれてきた人の生き様が多用な形で残されています。それらを学習(生涯学習)の教材に使ったり、観光資源として観光プログラムを構築させることで、スケールの大きい「魅力ある広域的観光地」に発展させることが可能です。

 言うまでもなく、学習や観光は「本物」でなければなりません。富士川流域には本物が無尽蔵にあります。

■⑦富士川流域は東海・関西からの玄関口になります。

 改めて申し上げるまでもなく富士川流域は東海・関西の玄関口です。山梨県東部は首都圏からの玄関口、北は関東からの、西は長野県からの玄関口です。何れも魅力ある玄関口を形成させることが「観光立県やまなし」(富士の国やまなし)に欠かせられない要素です。その大きな担い手の一つを富士川流域の市町村は感じ、広域的な組み立ての「富士川流域王国」に理解をして欲しいと思います。

■⑧広域的な受け皿で「一人十色」の学習・観光ニーズに応えることが大切です。

 広域的ネットを構築していれば「一人十色」のニーズに応えやすくなります。またワンチャンスでなく、幾通りもの受け皿を用意し、観光客に楽しんでもらうことが必要です。

■⑩以上のように「広域的に取り組むメリット」は、これからの環境変化に対応する上で、極めて重要になります。

 富士川流域(国道52)が通過地帯にならぬよう、流域市町村は個々に戦うのではなく連携で対応することを、改めて申し上げ、富士川水系という「広域的な観光地」(富士川流域観光圏)という形のプロジェクトを提案するものです。

■提言者 谷口一夫

*2004・9・14日日記より