中部横断自動車道の「増穂IC〜吉原JAC」区間の開通が、計画通り進めば10年後になります。特に増穂〜富沢間は無料区間となりますから、国道52号線のバイパス的な性格をもちます。これが沿線地域にどう影響していくか、山梨県知事政策局でもその予測できる実態を明らかにし、その上で活性化できる構想を策定する、という段階を迎えています。

 私たちの「富士川流域王国」運動も富士川水系を視野に、山梨県における広域的な観光地化を模索する運動(08・10・5日の日記「王国コンセプト」④参照)ですが、その底辺には横断道開通で、このままでは完全に通過地域になる恐れを感じた中からの富士川流域王国の出発でした。今回、私はその委員の一人として、また南部ブロックの分科会のリーダーとしての役割をいただきましたので、王国プランナーの皆様と平素、語り合ってきたことを披瀝しながら、横断道沿線地域の発展のため動きたいと思います。
 これまでの会合の中で、王国プランナーからの意見を集約した形として、下記の内容での話題を出しました。

谷口一夫(金山博物館長・富士川流域王国代表)
 私たちは王国プランナー会議など通じ、峡南地域(富士川水系という捉え方)の現状や未来像を模索している。その中から一つ紹介したい。
 10年後に開通予定の中部横断自動車道新直轄区間(南部町〜市川三郷町・無料区間)は、高速道路であると同時に、生活道路(バイパス)としての活用が考えられるが、道路にお金が落ちる施設がなければ、単なる「通過道路」で終えてしまう。
 現状でも、52号線の繁盛店は、道路に面し、大型トラックやトレーラー駐車可能な場であり、トイレなどが整備されているところである。最近のコンビにをみても、「大型トラック駐車スペース+トイレ+売店・食堂(レストラン)」があるところが目につく。こうした時代の流れを、生存競争が激しいコンビニ界は既に先取りしている。
 現在、自動車メーカーはじめ、多くの企業の生産活動の場では、「ジャスト・イン・タイム」で、部品を組み立て工場へ搬入するシステムは常識化されており、あらゆる産業の分野に波及している。この現象は清水港への搬入にも、農業生産物など市場への搬入にも、さらには畜産における屠場への搬入でも同様で、流通網が整備されれば、されるほどこれらは強まっていく。
 この需要に対応しているのが「流通トラック業界」。通常、交通渋滞などを考慮して、ドライバーは早めの対応と判断で、時間内到着可能な安全な場で待機(時間調整)している。
 身近な事例では、国道52号線にある鰍沢町営の「塩の華」は、夕刻の定時に駐車場を閉じてしまうが、トイレは整備して綺麗になっている為、使用できる。
 南隣に隣接する「富士川ドライブイン」には、夜間、大型トラックやトレーラーが駐車している。夜間、見に行ったら(駐車可能な)10台が並んでいた。
 そこでは「富士川」の食堂・自販機、塩の華のトイレを利用するが、自販機の売り上げだけでも10倍に跳ね上がっている(王国プランナーである自販機ドリンク業界の情報)。
 最近の旅行者の形態も意外と車中泊が多い。金山博物館へ来館された年配のご夫婦に、どちらへお泊りですかと声をかけてみたところ、車中泊ですよと何のためらいもない返事。
 現在、若者の収入も年収200万〜300万円の方が多く、旅行というと車中泊がめだつ。聴いてみると殆どがコンビニの駐車場。安心で便利だと言う。
 平日は「流通トラック業界」のドライバー、祝祭日週末は一般の利用者の利用で、受け皿があれば、そこへお金を落としてくれる。当然、昼間における利用者もある。
 六郷IC〜富沢IC区間は、新直轄区方式区間(無料区間)、いわゆる国道52号線のバイパスの状態になる。そこには前記した「施設」の整備が求められる。素通りだけは避ける方向での取り組みが不可欠だと考える。
 さらに気づくことは、国道52号線沿いの観光施設に、大型バスや乗用車の駐車スペースが無いに近い状態にある。身延山のお客さんに対しても、下部温泉郷のお客さんに対しても、駐車場の不安が足を遠くすることもある。下部温泉郷(金山博物館)入口の町営の無料駐車場は、近くの病院の職員駐車場化している。これらを含めインフラ整備を峡南全域で再検討すべきだと考える。ホテル、旅館、宿坊、民宿など、宿泊可能なキャパ、駐車可能なキャパなどの把握は大事だ。

 といった考えを発信しました。王国プランナーから頂いている情報は、まだ沢山ありますが、順次、披瀝して参りたいと思います。